b型肝炎のペグインターフェロン療法とは

短期間で治ることの多い急性肝炎と異なり、慢性肝炎の治療には長いケアが必要です。そのためには、治療に関してきちんと理解し、納得しておくことが大事になります。慢性肝炎の場合、ウイルスを排除するための治療を行っていきます。

ここでは、b型肝炎の治療の主流でもあるインターフェロン治療について詳しく紹介しています。

免疫物質を補う治療法

b型肝炎に感染し、検査の結果、治療が必要だと判断された場合、主にインターフェロン療法が選択されます。インターフェロンは、人がウイルスなどに感染した時に、リンパ球などの免疫関連の細胞がつくりだすタンパク質の一種で、糖タンパク質です。

ウイルスを抗原と認識して、直接攻撃してくれる抗ウイルス作用や、ウイルスの増強を抑制する免疫の働きを補助してくれる免疫増強作用もあります。慢性肝炎になると、体の中では、自然にインターフェロンがつくられていきます。

そのつくりだしたインターフェロンを培養などで増産して薬剤をつくり、それを体外から注射して補充して免疫機能を高めるのがインターフェロン療法です。

主流のペグインターフェロン療法とは

治療薬のインターフェロンは、培養によってつくられる2種、バイオテクノロジーで増産される2種があり、1992年から使用されてきました。そこへ近年、作用が増強されたペグインターフェロンが登場し、これは持続性も長いと評判です。

ペグインターフェロンは、インターフェロンにポリエチレングリコールという物質を結合させペグ化したもので、インターフェロンそのものが、タンパク質分解酵素の働きを受けにくくなり、壊れにくくなります。加えて、ペグ化すると水とインターフェロンの結合が強化されるため、生体の免疫系から抗原として認識されにくくなる特徴もあります。

そのため、免疫によって破壊されにくくなり、抗体もできにくくなるので、従来型のインターフェロンよりも作用が強いです。また、作用が持続する時間も従来型より10倍と長いです。

従来型であれば、週に3回の注射が必要でしたが、ペグインターフェロンは週に1回の注射でよくなったため通院負担も軽減されています。

その上、治療効果も高いです。現在、インターフェロン療法といわれているのは、このペグインターフェロン薬を使用するのが一般的です。当初は、c型肝炎の治療にのみ健康保険の適用がされていましたが、2011年からb型肝炎の治療においてのペグインターフェロンの投与も保険適用の対象となっています。

完全排除は難しい

インターフェロン療法によってc型肝炎ウイルスは完全に排除することができますが、残念ながらb型肝炎ウイルスを完全に排除することはできません。それは、両者のウイルスの構造が異なるからです。インターフェロンは、細胞内でRNA分解酵素を活性化し、ウイルスが増殖していくのを阻止してくれます。

b型肝炎ウイルスは、遺伝情報を持っている本体の遺伝子がDNAウイルスとなっていて、増殖には感染した細胞のコピーを利用してRNAのコピーをつくり、それとともにタンパク質を合成して増殖する仕組みです。感染細胞の受容体に結合したインターフェロンは、RNA分解酵素を活性化させ、コピーされたRNAを分解してくれます。

その結果、b型肝炎ウイルスは、増殖することができなくなります。ただし、DNAウイルス自体を破壊できるわけではないので、RNA分解酵素を活性化させるだけでは、b型肝炎ウイルスそのものを排除することができないというのが現状です。

しかし、ウイルスの増殖を抑えることができれば、b型肝炎ウイルスに感染した細胞は、免疫システムによって少しずつ破壊されていくので、ウイルスそのものも減っていきます。

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ゲノタイプAに効果的

慢性のb型肝炎の治療のガイドラインでは、HBe抗原の陽性や陰性、b型肝炎ウイルスの遺伝子型にかかわらず、初回の治療では、インターフェロン療法を第一選択として検討するように求めています。しかし、インターフェロン療法で、HBe抗原が陽性から陰性になる確率は20パーセントから40パーセント程度です。

効果が得られた場合は、HBe抗原まで消失する可能性はありますが、それでも体内のウイルスをすべて排除できるとは限りません。そのため、治療前にその効果を予測することは非常に難しいのです。従来型のインターフェロン療法は、ALT値が持続的に高く、HBV-DNA量がそれに比較して高くない症例や高齢者よりも若者、とくに35歳未満で男性よりも女性のほうが効果が出やすいとされていました。

しかし、現在主流のペグインターフェロンでは、そうした差異はないです。ただ、b型肝炎ウイルスの遺伝子型による差異は認められていて、ゲノタイプAでは、ゲノタイプBやCに比べると効果が高いことが明確になっています。

ゲノタイプAのb型肝炎は、近年、若者を中心に増加傾向にあります。インターフェロン療法は、最低でも1年で終了するので、進学や就職、結婚や出産などのライフイベントの調整も比較的可能です。タイプAと診断された場合は、核酸アナログ製剤よりもインターフェロン療法を選択するほうが日常生活への支障は少ないです。

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治療効果の有無と再治療

慢性のb型肝炎の治療期間は、24週から48週で、肝臓の線維化やウイルス量によって治療期間は異なってきます。また、副作用は確実にあるので、治療を中断することもあります。そのような時期を乗り越え、治療が終了した時にはインターフェロン療法の治療効果を判定し、治療対象の有無を決める基準であるALTの数値の正常化、HBV-DNA量の低下、HBe抗原の陰性化が得られた場合に、治療効果があったとみなされるのです。

治療効果がなかった場合には、経口投与の核酸アナログ製剤の服用に切り替えて治療が継続されるのが一般的です。核酸アナログ製剤は、複数の種類があるので、健康状態や妊娠の希望などと照らし合わせながら、肝臓専門医とよく相談して適切な薬剤を選ぶことが大事です。

一方で、インターフェロン療法の効果が得られ、非活動性キャリアになったと判断された場合でも、免疫力の低下により肝炎が再燃することもあります。その場合は、再びインターフェロン療法を行うか、核酸アナログ製剤によって再治療を行います。